地球温暖化論への挑戦(薬師院仁志)

先日もこの本について書いたが、補足。

この書籍の中で、「水蒸気が温室効果の主要な物質であり、二酸化炭素の重要性はより低い」「既に二酸化炭素による温暖化はこれ以上進行しない程になっている」といった趣旨の記述があった。

注意が必要なのは、水蒸気は相変化(凝結して液体の水となること)があるために、非常に温度が低い上空にはほとんど存在せず、したがって、水蒸気による温室効果は、地表付近に限られている、という特徴があることだ。一方、二酸化炭素の場合には、そのような相変化が無いために、上空にも存在しうる。上空で温室効果が働くと、赤外放射の有効温度が下がることになり、温室効果は相対的に効くことになる。二酸化炭素が増えると、成層圏はむしろ冷える、といわれているのはこのことと関係している。

このような観点からすると、二酸化炭素による温室効果について、この書籍の論拠だけで既に飽和していると考えるのは早計であると考えられる。