ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」(亀山訳)1,2

さほど翻訳が現代風であるとも思えない。それはともかく…

この作品が現代に語りかける意味はとても大きいように思う。イワンの物語詩は、他の後の様々な作家の様々なモチーフの一つにもなっていると考えられる。何が人類にとっての幸せなのか。あまり考えずに、何かの権威に追従する人民をそのまま許し、そうして人類が救済されるようにすべきなのか。はたまた、一人一人の積極的な関与を期待し、人々の自由を尊重すべきか。

例えば、地球温暖化。一人一人が「気候モデル」の構造や作りを把握しないまま、マスコミの報道する通りに信じこむことは、一つの方針を固めたい行政にとっては好都合であり、また、化石燃料を節約するという観点からも、人類にとっていいことなのかもしれない。しかし、それは民衆の主体的な判断とはほど遠い。

「美しい日本」も同様であるし、他の政治的スローガンも同様だ。