プラネテス

スペースコロニーが出てくる近未来を描いたアニメーションでは、構造体を回転させて遠心力で疑似的な重力とすることが多い。腕の長さが100m の場合には、周期20秒程度で回転すれば丁度 1G (9.8m/s^2) 程度になる。

さて、このような状況で、常に問題になるはずなのに滅多に現れないのはコリオリの力の効果である。少なくともこの手のアニメでコリオリの力が扱われているのを見たことが無い。例えば、上のような状況設定をした場合、回転系に固定されている物体・人は、慣性系から見ると30m/s 程度で回転運動している。この程度のスピードで回転運動していれば、丁度 1G 程度だというわけだ。ところが、回転している向きに 10m/s 程度で走ったとしよう。すると、40m/s 程度のスピードの回転運動をしていることになり、1Gよりも大きな疑似重力(1.7〜1.8G程度)を体験することになる。一方、回転している向きとは逆向きに走ると、20m/s 程度の回転速度となり、1G よりも小さな疑似重力(0.4〜0.5G程度)を体験することになる。

問題は、移動速度が大きくなればなるほどこの効果が大きくなることである。例えばコロニー内で 30m/s 程度のクルマを走らせると、向きによっては浮いてしまう。ガンダムがコロニー内で戦いを挑むときには、ジャンプする向きによって相対的な位置関係が変わることに注意しなければならない。ガンダムに現れたスペースコロニーが良くできていると思うのは、回転軸方向に長い構造になっていることだ。この方向への移動にはコリオリの力は作用しないので、安心してクルマを走らせることができる。

アニメに登場させるにはちょっと難しい話題かな…。いや、こう説明すれば難しくはないだろうけど、コリオリの力って、遠心力に比べて知名度がとっても低いからダメなんだろうな。

…おっと、今週の話とは関係なかった…。