赤福餅 雑感

今世間を騒がせている赤福餅の件について、少し書いてみたい。この件は、既に良く知られているように、当日作ったものを販売しているというふれこみであったにもかかわらず、冷凍して保存したり、あるいは古い商品を新しい商品に混ぜて作りなおしたりしていた問題だ。このような不正は許せない、というのが世間の一般的な反応だろう。そして、今日も又、似たような件が発覚し世間を騒がせている。

このようなことは許されない。それは全くその通りである。しかし、今生き残っている企業は、そういうことをする企業だけではないか、真面目にきっちり仕事をしていた会社は軒並倒産しているのではないか、そうして倒産した企業の関係者は、この事件の報道をせせら笑いながら聞いているのではないか、そんな気がしている。「競争原理」あるいはせいぜい、「いい意味での競争」などという言葉を生半可に理解し、自分のやっていることが何なのか、良くわからないままに、単に「安いから」と、安いものを買っていなかったか。そして市場から退場していく企業を「時代のニーズに合わせられなかった柔軟性の無い企業」と簡単に片付けていなかったか。

別の言葉で書いてみよう。「赤福は値段が高いです。それは、その日の売れ残りは処分するからです。」「赤福は日によっては売り切れが早いです。売れ残って不採算にならないようにするためです。」というような説明を赤福側がしたとしよう。そうした説明を我々は受け止められるだろうか。「民間企業なのだから、そこは経営努力でカバーすべきだ」と簡単に言っていないか。サービスに慣れきって、人の努力を当り前のように感じていないだろうか。

確かに努力が足りない企業も、一方では存在する。しかし、そうした習慣が、残すべきいい会社を沢山潰してきた可能性が高い。

売れ残りの「おぇっ」と思うような食品を食べることは、私達がしてきたことのツケを、ささやかながら払っているのである、という気がしてならない。