ある日の月

先日、子供を車に乗せていたら、子供が、「あっ!」という。事故を起こしそうなのかと思ってひやっとしたが、子供が見つけたのは地平線近くの大きな月だった。月齢は10日ぐらいだったろうか。道路の直線部分の先にぽっかり浮かんで見えた。

月がどうして大きく見えるか、というのはおいておいて、ここでは、ある日の月と同じ月がどれくらいの確度で見ることができるかを考えてみよう。

まず、月齢だ。月齢は月の形に直結する。おおよそ、30日に一度、同じ形になる。

次に、時刻だ。月の出から何れくらい時間が経過しているかで、どの方向・高度に見えるかが変わってくる。

次に、季節だ。季節の景色のことではない。月の位置は季節でも大きく変わるのだ。月は地球の赤道面よりも地球の黄道面に寄り近い面内を公転している。つまり、月は、多くの場合、天空上の太陽の通り道である黄道の近くしか通れない。そこで、同じ月齢の時を考えても月の通り道は季節によって変わってくる。例えば満月の時を考えてみよう。真夏の満月は、月はその反対側、つまり、真冬の太陽の位置にある。その結果、真夏の月は、東よりも南よりのところから出て、南中高度も低く、西よりも南側のところに沈む。逆に、真冬の満月は、真夏の太陽の位置にあり、東よりも北よりのところから出て、南中高度は高く、西よりも北寄りに沈む。他の月齢についても同様のことがいえる。

最後に天気だ。天気によって、見え方や雰囲気が変わる。見えなければお話にならない。

このような事情で、特定の月齢で、特定の方向の、特定の高度の月は、恐らく、一期一会であろう。